スタートアップの商品企画に必要な哲学
今週、商品企画のミーティングで非常に盛り上がりました。
色々盛り上がったのですが、商品企画を考えていくアプローチがそれぞれ違うよね
と新しい発見がありました。
マーケットやクライアントの要望やニーズから考えていく人、
自分の欲しいものをつくる人、
数字から考えていく人、
別に正解はないとおもうのですが、
僕が商品企画でいつも考えてることを、少し整理して書いてみようと思います。
まず商品企画において最も重要なことは、その商品を通じて自分たちが実現したいVision(世界観)を明確化することだと僕は考えています。
極めて思想的というか哲学的なんですが、
会社にVisionが必要なのと同様に、商品にもVisionが必要だと思っています。
それは、2つの理由からです。
1:商品企画で迷った時の拠り所になる
自分たちが何のためにその価値を提供しているか?を明確にすれば、立ち返ることができます。
2:常に時代に合った価値を提供していくため
常に求められることは時代とともに変わるので提供価値は変えていいのに、
過去成功した価値、以前はこれで喜んでもらえたということにすがりがちです。
それで、時代と合わなくなってしまう商品は沢山あります。
よく成功体験が邪魔をするという説もありますが、
僕はそうではないと思います。
Visionを常に最上位概念に据えていられれば、成功体験はプラスに決まってると思っています。
大事なことは、Visionと提供価値の間にギャップがないか?
毎日、確認をし続けることだと思います。
よくありがちなのは、クライアントやユーザーへの提供価値だけを考えて商品企画してしまうことです。
価値というのは非常にあやふやなものです。
目に見えませんし、感覚的なものです。
なので、どんどんズレていく可能性があるということです。
その時に、提供してる自分たちですらその商品の価値認識が変わっていってしまう可能性があります。
本質的には、我々は商品サービスを通じて何らかの価値提供を行うことで、どんな世界にしたいのか?ということをメッセージしているはずなんです。
つまり、実現したい世界観が「目的」であって、その価値提供は「手段」であるはずなんです。
ちなみに、KAIZEN platformの場合はこうです。
planBCDという商品はリーズナブルに改善活動を提供します。
それを通じて、クライアントのビジネスを成長させたい!というのが弊社のVisionです。
ただ、改善が必要ないところに提供したいとは考えていません。
事業成長が見込めるところに改善活動を提供すべきだと思っています。
なので、あんまり意味のないA/Bテストはやって欲しくありません。
A/Bテストは単なる手段ですから。
とにかく沢山A/Bテストをしてもらえばお金は儲かるかもしれないですけど、
クライアントの事業成長につながらない売上は、我々のVisionへは何の意味ももたらさないからです。
で、その売上は自分たちの商品やサービスを弱体化させていきます。
価値だけを追ってしまうと「目的」を見失ってしまいがちなんです。
なので、常にVisionが必要なんだと僕は考えています。
商品のVisionが決まれば、次に考えるのは何と比較されたいか?です。
人は、価値を比較対象から連想していくことがほとんどです。
つまり、比較されることで自分たちの商品サービスのアイデンティティを確立させやすくするという狙いです。
なので、自分たちの競合とちゃんと比較されるかはとても重要です。
競合と比較されることを嫌がる方も結構いらっしゃるんですが、
もったいないなと思います。
ましてや競合を設定しないとか、競合はありません、
なんてことはもったいないお化け出るレベルです。
きちんとライバルを決めて、そこときちんと比較されているのか?を見ていくことで
自分たちの提供してるつもりの価値がズレていないか?
またそれはVisionにつながっているのか?
を確認していくことができます。
我々のplanBCDのケースでいうと、最近我々が意図しない競合と
比較されることが、たびたびあります。
我々は、プラットフォームを通じて改善というプロセスを提供してるつもりなんですが、
コンサルや制作とどう違うのか?と聞かれたりすることがあります。
それは、我々のノウハウを期待していただいているからだと思うのですが、
これは我々が意図した提供価値を少しズレて認識されているということになります。
もしコンサルを価値だとすると、改善案の精度が高いということや
改善案というアウトプットそのものが価値だということになってしまいます。
そうすると、例えば改善案を考えるプランナーを置くとか、
改善案を提案するもっともらしい資料のひな形をつくるとか、
そういうことに時間と費用をかけていくことになります。
ただ、我々は自社でカンタンに何度でも改善をしていくことができるという
プロセスを売っているつもりです。
なので、今後はもっとカンタンに改善したり、問題箇所を示唆したり、
そういうことに時間と費用をかけたいわけです。
なので、商品設計自体を少し見直す必要があります。
見せ方、売り方など細かい部分を変えることで、
再度、意図した価値提供として認識される商品に仕立てる必要があります。
チューニングのようなものです。
このときに、
どんなメタファーで説明するとそれが伝わるか?
とか
どんな競合と比較されたいか?
とか
様々な確度から、これで意図した通りのものとして認識いただけるかを確認します。
我々の場合、少しだけパッケージングや見せ方を変えようとか
そういう議論になるわけです。
そして、競合の話でいうともう一つ。
常に間接競合の存在を確認するということです。
商品企画する上で、忘れてしまいがちなのが、全然別のジャンルだから気にしてなかったけど同じような価値提供をしているものが必ず存在しているということです。
そして、大抵その市場は巨大です。
また、我々の例をあげてみるとこうです。
僕らは、A/Bテストという方法で効果改善を提供しようと事業を展開してるんですが、
当たり前ですが、他にも色んな手段があります。
例を挙げれば、大規模な改修やサイトリニューアルという方法です。
これらは、現状の課題を解決するために実施されてるので間接的な競合になります。
そう考えると、逆にこういうことを言うこともできます。
「我々は、小さなサイトリニューアルを沢山、しかも継続的に提供することができます」
「しかも、サイトリニューアルや大規模改修よりリーズナブルです」
A/Bテストといってもその価値がイメージしづらい場合にはこんな感じで伝え方を変えることで、今までの方法では気付いてもらえない価値に気付いてもらえる可能性があるかもしれません。
というわけで僕が実践してる商品企画のプロセスというのは、
①「Vision」を具体化&明確化して
②「直接競合」を設定して
③「間接競合」を確認した上で
④パッケージング(見せ方や売り方や価格や商品名を決める)していく
そんな方法を採っています。
最後のパッケージングのところは、そこだけでとても面白いので
またの機会に書いてみようかと思います。