sudoken Blog

Kaizen PlatformのCEOのブログです

免疫学的組織マネジメント

マネジメントに関わる中で、悩むことというのが必ずあります。

そんな時、僕は何人かの経験豊富な経営者のメンターにアドバイスをもらいにいきます。

その時に頂いたアドバイスは、ずっと覚えているものです。

 

ある時、人事で迷ったことがありました。

片方の案をとるとある人たちからの文句が出る。

片方の案をとると別の人たちからの不満が出る。

 

どうしたもんかな?と思って相談にいくと面白いことを言われました。

「人事で、2者択一問題に遭遇した場合は、どっちもとらない方がいいぞ」

 

どういうこと?

と思ったんですが、その理屈が面白かったです。

 

「あちらをたてれば、こちらがたたず。

基本的に人事ってのはそういうもんだろ?

迷うということは、言い換えれば、どっちをたてても何かで困るということだな。

それは、たぶんお前が無視できないような問題なんだろう。

そういうときに両方とりたい、あるいは片方とりたいというのは難しい。

そういう時のアプローチはどっちも取らないなんだよ。

そうすると、両方ともお前のことが敵になるだろ?

共通の敵ができると小さな問題は見えなくなってチームが上手くいく。

だから、どちらもとらないことで別の新しい問題を組織に持ち込め!」

 

という内容のアドバイスでした。

このアドバイスは僕に新しい観点をもたらしてくれました。 

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自己組織化する組織というのが、僕の理想の組織なんですが

それをつくっていく上で、大切なことは、解決することではなく

組織が何の問題と向き合っているか?だということに

気付かされたアドバイスだったからです。

 

要は、それまでの僕は組織の問題を解決しようとしてたんですが

そうじゃなくて、組織が向かっている問題をマネジメントした方がいいよ

という新しい発想でした。

これを僕は勝手に免疫学的アプローチと呼んでいます。

 

ついこの前、ああでもない、こうでもない、どうしたもんかね?と

問題について議論してた時に、

全然別の問題を持ち込もう!という話が出て、

大いに盛り上りまして、この話を思い出した次第です。

 

組織には常に問題が発生していきます。

この話題とは別ですが先日も、

いかに組織の反射神経を上げるかって大事だよねと日報で書いて、

皆と議論してた内容をFacebookに書き込んでみたら、

すぐに200以上のいいねがついて、

思った以上に多くの方が悩んだり、共感してくれるんだなーと驚きました。

 

こういう社内でしてる議論とかも、

オープンにしていけると参考になる人がいらっしゃるかと思って書いてみました。

もし好評だったら、気が向いたときにまた書いてみようと思います。

スタートアップが採用でつまづく意外な理由

これは、自戒を込めてのエントリー。

 

なんで採用がそんなにうまくいっているんですか?と聞かれることが増えました。

うまくいってるという風に言って頂けるのは嬉しいですし、

とてもいいチームになってきていますが、

採用においてはもっと頑張らないとと正直焦っているのが本音です。

 

なので、採用に関する勉強会はなるべく参加し、

西にいい人がいると聞いたら飛んで行き、

東に凄い人がいると聞いたらお茶をする。

少し時間が空いていると聞いたら、すぐに飛んで行ってます。

相手がビビるくらいのスピードで。

 

それほど採用を死ぬ気でやっています。

なぜ、死ぬ気でやるかというと採用しないと死ぬと思ってるからです。

単純です。

我々には、できないことがたくさんあると強く認識してるからです。

その問題を解決しない限り、事業が成長しないと確信してるからです。

 

我々の中に解決策を持っていない問題が、我々にはたくさんあります。

その問題を避けて通ることはできません。

一個一個解決していかないといけないんですが、ここで大きな罠があります。

「今はやっていないだけで、やればできると思ってる問題」です。(長い。。。) 

 

これは結構根深いなと思います。

図にすると下記です。

スライド1.jpg「やっていない」ということは認めやすい

「できない」ということは認めづらい

ただ、「できない」と認識することから初めて抜本的な行動変化が起こるんだとという理屈です。

 

スタートアップの採用で陥りがちな罠は、

経営者が本質的に自分たちが「できない」問題に気づいていない可能性が高いことが

最も採用でつまづいてしまう理由だと思っています。

 

「いい人が来てくれない」

とよく聞きますが、基本いい人というのは向こうから来てくれないと思います。

 

つまり、今起きている問題を、今我々は解決できるのか?

ということに対してきちんと向き合って、「できない」という答えなのであれば

次のアクションはとても簡単で、

「解決できる人を連れてくる」

ということに尽きます。

 

ここまでくると、自然と採用に必死になれます。

問題は、できると思ってることじゃないかと思うのです。

できると思っている=本質的な解決が遅れるというケースが多々あります。

 

「できない」ことを認めて、

「できる」人に来てもらって、

いかに「やる」(行動に移し、徹底する)

というステップにいかに早く進めるかというのが超重要と最近つくづく思いました。

 

つまり採用は一種の課題解決策なので、

課題を認識してなければ、そもそも採用なんてうまくいくわけないじゃん!ということですね。

まあ、こう書いちゃうとホント当たり前なんだけど、とても忘れがち。

 

というわけで、KAIZEN platformは取り組み甲斐のある課題が満載です。

刺激的な課題をお求めの皆様、ご応募お待ちしております。

熱狂が生みだす価値

今日、プレスリリースさせていただきましたが、

弊社KAIZEN platformは2/1より元Googleの小川さんをカントリーマネージャーとして、

GREEの瀧野さんをプロダクトの責任者として迎えることになりました。

 

KAIZEN platform社の新カントリーマネージャーに元Google 小川淳氏 プロダクト責任者に、元GREE 瀧野論吾氏を迎え、国内事業を加速 - KAIZEN platform Inc.

 

お二人をはじめ、2月〜3月でKAIZEN platformでは17名の新しいメンバーを迎えます。

今から一緒に仕事出来ることに、とてもワクワクしてます。

 

2月で本格始動してから半年が経ちました。

きっと外の人から見れば、わずか半年という感じでしょうが、

当事者からすると色々なことがありまくったのに、まだ半年しか経ってないの?

というのが実感値です。

 

我々KAIZEN platform社は、

今までのところ爆発的な成長を遂げております。

よく聞かれるのは 、なんでこんなことが実現できたんですか?

ということです。

 

まだ何も実現できてるわけではないので、答えるのすら恥ずかしい質問なんですが、

一番こだわってきたのは、チームの熱狂です。

 

情熱を燃やせるテーマを事業のセンターに掲げ、

刺激をビリビリ与えてくれる仲間だけを求めて採用を続けてきました。

 

特に僕自身は、周囲が引くくらい仕事が好きです。

本気で議論しようと思うと、

あれだけ働くリクルートの中でも浮いてしまうことも度々ありました。

どっかでセーブしないと当然上手くいかないので、

コントロールしながら仕事をするようになっていました。

 

今は、全く手加減することなくぶつかれる仲間がいます。

僕以外のKAIZEN社のメンバーもどこかおかしな人が集まっています。

各社でエース級だった人が集まってきてるわけなので、皆さんとても優秀なんですが、

何よりも仕事に対する溢れんばかりの情熱を持っている人が来てくれています。

 

不思議とこれまで毎月実施しているロングミーティングは白熱します。

我々の会議はゲストが沢山来てくれます。

・入社前の人

・別に入社を決めてはいないけど、興味を持ってくれてる人

・我々がスカウトしたい一緒に働きたい人

そんな人々に、どんな格好悪い情報もさらけ出しながら皆で会話をします。

もちろんゲストにも意見を聞きます。

 

会をおうごとに人数が増え、

1月は25名でガッツリとプロダクトの戦略や今年のKPIなどを議論しました。

このMTGに出てもらうと不思議と皆入社してくれるという

リクルーティングの場にもなっています。

そして、この場の熱に、僕はこだわっています。

これにこだわり続けたことが、一つ確実に今のKAIZENをつくっていると思います。

 

僕は、熱狂の持つ力を信じています。

熱狂の生み出す価値を信じています。

言葉にすると薄っぺらくなるんだけど、いいチームには必ず熱があると思います。

情熱は情熱を引き寄せますし、

困難に向き合っても、仲間がいるから強い気持ちでいられます。 

その熱は、必ずクライアントやグロースハッカーや全てのステークホルダーに、

プロダクトやサービスを通じて伝播し、

いい影響を与えてくれるものと信じています。

そして、この熱をいかに育てて行けるか?がCEOとしての僕のトップアジェンダです。

 

世界をKAIZENするのが我々のミッションです。 

今日また、それに向けた新たな一歩を踏み出しました。

是非、また応援のほどよろしくお願いいたします。

チャンスに対して鈍感でいられる感覚

完全にメモ代わりのエントリー。

起業してから、変わったことの一つが機会に対してとても敏感になったこと。

 

すごく当たり前の話なんだけど、大企業の新規事業部門にいる時というのは、当然巨大な収益やマーケットサイズを目指す前提なので、チャンスに対して適度な鈍感さが求められる。

だからこそ、意識的に敏感であろうと心がけてきた。

 

一方で、スタートアップというのはそもそもの図体が小さいので、様々な機会を好意的に捉えるセンサーが思いっきり敏感に働いてしまう。

 

でも、やっぱりスタートアップほど、機会に対して適度な鈍感さが必要なんだと思う。

一度立ち止まって

「本当にそれでいいのか?それで勝てるのか?」

という風に石橋をたたく瞬間が増えた。

 

これは、明らかに機会に対して、自分が敏感すぎる状態になっているのかなとふと気付いた。

リソースがないから、イシューを絞り込んでいく必要があるし、分散させた日にはどこにいっても勝てない。

 

勝つためには、絞り込む。

絞り込むためには、目移りしたときにすぐに判断せずに動かずにジッと耐えて、深い思考をしてみるということも必要だな〜と自戒を込めて。

 

 

※こういう自分自身の感覚が変わってきてることを自分で理解しとかないと凄く怖いんですよね

2013年の振り返りと2014年に向けて

2013年も様々な出会いがありました。

振り返りながら、2014年へ向けての想い的なものをしたためてみたいと思います。 

 

「人」

2013年も新しい人との出会いには、常に刺激を頂きました。

中でも
手前味噌で恐縮ですが、KAIZEN platformのメンバーと出会えて、一緒に働く機会を得られたことは
至上の喜びでした。
素晴らしいチームと仕事をさせてもらえていることを幸せに思います。
 
「仕事」
スタートアップの経営に取り組みはじめましたが、リクルートで仕事をしていてよかったなと痛感しております。
特に、
マネジメント
採用
営業戦略
の3点に関しては、圧倒的に経験がものを言いますのでこれは非常にありがたいと感じました。
この3点は、スタートアップをはじめてから経験するのでは得難い経験を大企業ではできます。
 
マネジメントは言うまでもなく、ベースで必要になってくるのですが、自分の中にいくつかのパターンというか球種を持つと様々なシチュエーションでも対応することができます。
今は、マネジメントコストを最小化するべく自律を求めるマネジメントに挑戦していますが、その線引きや間合いのようなものは圧倒的に過去の蓄積に依るものが大きいと感じています。
 
採用も、いわゆる採用要員としての採用ではなく最終ジャッジをする側として立ち会っていくことができたことが凄く大きいと感じます。
一緒に働くイメージや活躍するイメージ、一人一人の性格や特徴を把握していく中で、全体としてどのようなチームを作り上げていくか?
これは、事業責任者として経験を積んだことが凄く大きいです。
スタートアップでは採用に失敗できないと思うと、非常に消極的になってしまうのですが、一定の失敗を織り込んで、あとは自分のマネジメントとチームの緊張感でカバーしていく術を持っていると大きく違うなーと感じました。
おかげさまで、今本当に個性溢れるメンバーと面白く仕事をさせてもらっています。
 
営業戦略ですが、営業は多分どんな会社でも経験できると思います。
ただ、営業戦略は別です。
何を買っていただくか?
どのように買っていただくか?
誰に買っていただくか?
 これらの要素は全て、営業戦略や営業企画、商品企画という仕事をしてきて学びました。
様々な会社とお仕事させていただいて気付きましたが、世に言う商品企画という仕事は商品をリリースして終わりというケースが大半です。
リクルートでは、営業同行し売り方のトーク含めて考えていく。
売れるところまで創り込むのが商品企画と叩き込まれてきてますので、これは大きな差だと痛感してます。
特に、ターゲットに対する議論というのは徹底的に行いますが、この経験は得難いものでtoBのビジネスをしている我々には大きなアドバンテージでした。
 
実質セールスを担当する人間が私ともう一人の2人だった時から、この議論を絶えず実施してきたことは、大きな成長速度の源泉になっていると思います。
 
というわけで、KAIZEN platformの2013年は、おかげさまで想像してたより素晴らしい結果になりました。
 

売上 122%達成

提供社数 350社以上

利用国数 10カ国突破(正月に増えました)

従業員数 30名以上

イベント登壇、講演数 11

ピッチイベント登壇数 7(うち賞のあるイベント6つ全てで受賞&入賞)

メディア露出数 270以上(WEB、雑誌、新聞含む) 

 
「旅」
昨年は子供が生まれたこともあり、機会が減ってしまいましたが、今年はもう少し増やしたいです。
箱根
サンフランシスコ
台北
鎌倉
大阪
京都
那覇
 
「美術館」「映画」「音楽」
2013年は美術館や映画やライブにいく機会が激減しました。
小さい子がいるとなかなか難しいですが、今年は攻めていきたいと思います。
 
「食」
台北の頂上魚翅燕窩專賣店のフカヒレが忘れられなくて2013年も行きました。
最高です。
昨年も同じこと書きましたが、あー思い出しただけでヨダレが止まらない。
頂上魚翅燕窩專賣店のフカヒレ
芝蘭の担々麺
はせ川の寿司
塚田農場の炊き餃子
貝正の金目
なだ万の鉄板焼き
 
「アート」
昨年は改めて大観の素晴らしさを再確認しました。
日本画から始まり、水墨画、書道、浮世絵や刀など日本美術と触れ合う機会ができて寺社仏閣などの建築にさらに惹かれるようになりました。
狩野正信
北斎
村正
 
「風景」
昨年一番の風景は、何と言っても愛育病院の桜です。
娘が生まれて、退院するときの桜を一生忘れないと思います。
 
「病気」
おかげさまで、健康に気をつかってきたこともあり一昨年よりも平穏に過ごせました。
年末に台湾、鎌倉、京都、那覇と2日置きくらいに移動が重なった際に、最後ウイルスにやられました。ご迷惑をおかけした皆様、すみませんでした!
 
「プライベート」
なんといっても、2013年は子供が生まれるということが一番の変化になりました。
家族の絆が強くなり、娘の笑った顔を見るのが毎日楽しみになりました。
娘の日々の成長に、大変ながらも凄く刺激をもらっています。
 
 
さて、 
2012年は、未来なんてわからないというエントリーから
2013年は、出会いと可能性の拡大についての話題からはじめました。
 
今年は、縁について少し科学的に考えるところからはじめたいと思います。
 
突然ですが、マーク・グラノヴェッターというスタンフォードの社会学の先生が唱えた
"The strength of weak ties"「弱い紐帯の強み」
という説をご存知でしょうか?
 

この説は、緊密な社会的繋がり、例えば親友や核家族は力を行使するには適当だが、密なネットワークは高度に冗長な情報を持つため、探索にはほとんど無用であるとするものである。一方、弱いつながり、即ち単なる知り合い関係では情報の冗長性がはるかに低いため、探索には極めて有効である。しばしば情報は力よりも重要であるから、個人が発展していく(求職等)には弱い繋がりの方が家族や友人関係よりはるかに重要となる。

この説は1970年、ハーバード大学の博士課程在籍中に行われた調査に基づく。282人のホワイトカラー労働者を無作為に抽出し、現在の職を得た方法を調べたところ、よく知っている人より、どちらかといえば繋がりの薄い人から聞いた情報を元にしていたことが判ったのである。これは「よく知っている」人同志は同一の情報を共有することが多く、そこから新しい情報が得られる可能性は少ないが、「あまり知らない」人は自分の知らない新情報をもたらしてくれる可能性が高いからだと考えられた。このような「あまり知らない」間柄を「弱い紐帯」と呼び、その重要性を明らかにしたのがグラノヴェッターの功績である。

by wikipedia 「マーク・グラノヴェッター」

 
この説を深めていく中で、彼は熱狂状態がなぜ起きるのか?についても洞察しています。
 
彼はとりわけ、一時的な熱狂状態が形成されるモデルについて熟考した。仮想的な暴徒を考えよう。その中のひとりひとりについて、騒乱に加わるか加わらないかは、他の皆がしていることに依存するとする。扇動者は他の誰も騒いでいなくても騒動を引き起こすだろう。一方、他の人々は騒ぎを起こしている者たちの人数があるクリティカルな数をこえて初めて騒ぎを起こす。その閾値(あるいは臨界値)は確率的に分布するとする。ここで魅惑的なことが起る。閾値の分布に関する初期条件が僅かに異なるだけで、結果が大きく異なるのである。
by wikipedia 「マーク・グラノヴェッター」
 
これは、のちにマルコムグラッドウェルの「Tipping Point」という本で有名になります。
熱狂状態(いわゆるブーム)というのは、ある閾値を超える密度で扇動者が集まることから始まります。
 
現在はソーシャルの時代です。
"The Six degrees of separation"「6次の隔たり
という言葉があるように、かなり少ないステップで様々な人とつながれる時代になっています。
さて、ここにも先ほどの"The strength of weak ties"が重要になってきまして、大事なのは共通の友人よりもその先の自分が知らない重複しない友人の数の方です。
 
重複しない友人の数が23人を超えると日本では誰でもつながれるようです。
236=148,035,889人となり、日本の総人口128,057,352人(2010年国勢調査に基づく2010年10月1日現在の確定値[3])を上回る

by wikipedia6次の隔たり」 

 

友達の友達は平均3万人くらいという調査がありますが、すでに3万人のネットワークを持っていると考えるとスゴイことですよね。

Facebookの「友達の友達」は平均で約3万人――Pew Internet調べ - ITmedia ニュース

 
私のFacebook上でつながっている友人は、最も多い人で4700人以上の重複しない友人がいます。
直接つながっている友人が約1500人くらいいますので、おそらくワンクッションで、10万人くらいにリーチ出来るのでは?と思います。
 
つまり我々は、Tipping pointを超えるための手段を持っている時代に生きているということなんだと思います。
あと必要な志と情熱があれば、熱狂状態をつくりだしていくことが出来るのではないかと感じています。
少なくとも昨年、わずかながらその兆しを体感することができました。
 
今年も非連続な成長を実現していくために、新しいことに挑戦していく必要があります。
当然一人でできることには限界があります。
その際に、大切にしたいのはこの縁です。
このことの重要性を起業してから痛感していまして、これまではご縁のなかった、でも間接的な知り合いだったという方々に数多く助けて頂いてきました。
 
改めて、縁を大切に大胆に挑戦していきたいと思います。 
 
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

スタートアップの実態

KAIZEN platformをデラウェアに登記したのが、今年の3月。

東京が4月。

僕がリクルートを退職するのが6月。

7月に最初の社員として入社してからちょうど半年が過ぎようとしてます。

 

なんか最近では、色んなメディアで取り上げて頂いていたり、

色んなピッチイベントで賞をいただいたり、

と順調なように見えていますが、

忘れないように創業前と創業直後のエピソードを少し

自分のためにも残してみたいと思います。

 

2012年3月から何かやろう!とステルスプロジェクトが始まりました。

このときの目標はY combinatorに潜り込んで、USでテックスタートアップをやろう!

でした。

今思うと笑っちゃうほど軽薄w

WIREDの記事を皆で回し読みして、面白そうだ!なんて言いながら盛り上がっていきました。

 

皆パートタイムだから、週に2回の定例をやりながらも中々進まない。

当時は、毎週50本以上の会議やアポイントをこなす絶望的なスケジュールを

なんとかこなす日々で、

一緒に手伝ってくれたメンバーの力になれないことが多かったです。

 

このままではいけないと思ったことと、真剣に世界で勝負したいという想いから、

自分自身もリクルートを卒業するということを現実に考えるようになり、

2012年の6月くらいから会社に退職の相談をしはじめました。

 

で、今のWEBサイトのA/Bテストをクラウドソーシングでやるというアイデアは

その半年後、ちょうど2012年の冬くらいに急浮上し、

それまで半年以上かけてつくっていたプロダクトを捨てることになります。

 

当然半年かけてつくってきたものなので、皆本音は辛かったと思います。

 

その時僕が、

「今のプロダクトと新しいアイデアのどっちがワクワクしますか?」

 とその時のメンバー全員に問いかけると

全員が

「新しい方!」

と即答しました。

 

「じゃあ決まりだね」

と皆で笑ってしまったことを覚えてます。

 

そこから今のplanBCDが始まりました。

3日後くらいにモックができあがり(←この辺りが今思うとスゴイ)、

そこから少しずつ形をつくり、

あーでもない、こーでもないとやりながら

デラウェアに法人登記。

 

Y combinatorに応募し、見事落選。

でももはや退職するから当然のように後に引けないw

 

その後も、ビザ取得が困難であることがわかり、日本からビジネスを立ち上げることに。

英語でつくってたプロダクトを日本語に翻訳したら、なぜかカタコトな日本語に。

なんだか笑っちゃうくらいに思い通りにいかないものです。

 

この間も、お金がどんどんなくなってめちゃくちゃビビりました。

カードの明細と数百万と消えていく口座を見て、

「これは奥さんに怒られるな〜」

と思いながらお腹の痛い日々を送ります。

 

でも、その後も人を採用したい

開発も増やしたい

オフィスもつくらないと

という中で、お金をどんどん使う日々が続きます。

 

僕らは、そんな中何回か揉めたことがあります。

貧すれば、鈍すという奴です。

「このままいくと、マズイからやっぱりスピードを抑えないか?」

「もっと今出来る範囲でやった方がいいんじゃないか?」

こんな議論が何回もありました。

 

お金がじゃぶじゃぶ消えてる中で、僕自身も凄くきつかったのですが、

断固として

「いや、頑張ろう!スピードだけは落とさずにいこう」

と言い続けました。

 

「資金はなんとかするんで、やっぱアクセルをベタ踏みでいきましょう」

と言ってました。

 

今となって考えてみれば、これは皆に話してるよりも、

自分に言い聞かせてたのかもしれません。

 

そこから資金調達と営業を開始。

少しずつ手応えが出てきます。

 

無事にシードラウンドを終えた時は、凄くホッとしたことを覚えています。

「あーこれで、もっと戦える」

という安堵感です。

 

それからは、毎日営業の日々です。

新しいプロダクトは売り方がわからないので、実際に毎日営業して日々修正を繰り返す日々が続きました。

 

本当に毎日、ビジネスデベロップメントを担当頂いているTonyさんと議論でした。

 

「何が問題なんでしょうか?」

「僕らのどこを変えるべきですかね?」

「ターゲットは誰ですか?」

「そのキワはなんですか?」

など、濃密な議論を毎晩のようにカフェやオフィスでしてました。

 

その合間をぬって、ピッチ大会に出るために資料をつくって練習。

「すどけん、明日の資料できたの?」

「これから頑張りますw」

と徹夜しながら自宅のリビングで寝落ちすることもしばしば。

 

これがスタートアップの実態です。

 

ただ、僕は仲間に恵まれてました。

いつも助けてくれる友人が沢山いました。

応援してくれる家族がいました。

おかげで、苦しいシチュエーションでも常に希望をなくさずにやってこれました。

 

こういうことを楽しむことができたのは、

ひとえに支えてくれる皆さんのおかげでした。

 

とりわけ社外の人が一杯助けてくれました。

親切にしてくれましたし、沢山のアドバイスをもらいました。

発注までいただいたのもとてもありがたかったです。

 

元リクルートの先輩、同僚、後輩

先輩経営者のみなさん

投資家のみなさん

学生時代の友人

創業してから知り合った友人

ありとあらゆる人が助けてくれたおかげで

なにもなかったところに

引力のようなものが生まれ

スゴイ勢いで形ができていく。

 

これらは、すべて混乱と喧噪の中ドタバタと起きていきます。

そしてよく事業は人が全てだといいますが、

あれは決して従業員だけを指しているわけではないということがよくわかりました。

 

その事業を応援してくれる人みなさん一人一人が全てです。

関わってくださっているお客さん、

パートナーさん、

インターンのみんなや会社の仲間はもちろん、

そのご家族や友人のみなさん。

きっとこのブログを読んでくれている、あなたもその一人です。

こんなにハチャメチャでも、楽しく明るく仕事をさせてもらったことに

心から感謝しています。

 

そして、来年はこの輪がもっと大きくなることを

とても楽しみにしています。

皆様、よいお年を!

 

 

2013年12月28日(土)

KAIZEN platform Inc.

Co-founder & CEO

須藤 憲司

 

スタートアップと大企業の新規事業の違い

スタートアップしてみてどうですか?

と聞かれることが多い。

 

特に大企業の新規事業部門で働く人からよく聞かれます。

率直にいうと仕事の上では、大差がないというのが事実です。

 

やるべきことをやり、

結果を残す

以上

 

それは新規事業部門というか、すべての仕事人に通じるところだと思います。

なので、本人的には会社員をしていた時と全く変わらずに仕事毎日楽しいなーと思って働いております。

 

ただ、違いを述べよという点でいうと大きな違いが一個だけあります。

 

「スタートアップは働く当事者のビジネスで、新規事業は会社のビジネスである」

 

という点です。

このオーナーの差はめちゃくちゃ大きいです。

 

大企業の新規事業部門というのは、大抵難しいジレンマを抱えます。

・既存の事業とのバッティング

・エース人材を当てられるかどうか?

・本業がピンチになった場合の調整弁化しがち

・ガバナンススタイルが参入市場にフィットしない

・人材のケーパビリティが全然違う

もう無限大にあげれそうな、あるあるネタですが

これらは全て会社のビジネスであるという点に帰属する問題です。

 

一方、スタートアップというのは基本的に吹けば飛ぶほど脆弱です。

お金、人、ありとあらゆるリソースがありません。

 

ただし、このビジネスは参加してる人のものです。

むろん創業者もそうですが、ストックオプションなどで従業員とそのビジネスの行く末のリンケージはとても強いです。

そうじゃなくても、立ち上げ当初のスタートアップにおいて参画してくれる従業員ほど影響力の大きい存在はありません。

 

だって、一緒に汗かいて働いてくれなかったらビジネスが大きくなるはずがないですよね。

口では言わないかもしれないけど、スタートアップの経営者において一緒に働いてるメンバーの方が、特にアーリーステージにおいては株主より圧倒的に重要です。

 

そんな影響力を持つメンバーやそれを支援してくれるVC、弁護士、会計士、監査法人などの外部ステークホルダーの応援も当然です。

利害が一致する人々がチームをつくってイノベーションに取り組むわけです。

このチームをつくっていく行為を資本政策と言ったりするんだと思います。

 

一方、企業内の新規事業のメリットは2つあります。

アセットが使える点+その事業がなくなっても異動すればすむ点

 

ただ、注意しなければいけないのはアセットです。

・営業チャネルが使える

・データが使える

トラフィックが使える

などが考えられますが、これが意外と落とし穴で

・なかなか営業チャネルは、思ったように動かない

・なかなかデータが使えない

・なかなかトラフィックが使えない

のが普通だからです。

 

既存事業の制約条件に左右されるアセットなので当然です。

 

そこで大切なことは、

「そのビジネスの成功に本当に必要なものはなにか?」

を考えて行くことだと思います。

 

その観点から見たときに

「あなたのビジネスは誰がやっているべきビジネスですか?」

という問いが重要なクエスチョンなんじゃないかなと考えています。

 

これに、

明確に答えられるスタートアップはイグジットの方向性が見えてくる気がしますし、

明確に答えられる新規事業は、少なくとも位置づけがクリアで余計な気苦労が減る

んだと思います。

 

もし、あまりクリアに答えられない場合はもう少しその事業について知る必要がある

かもしれませんね。

 

 

「あなたのビジネスは誰がやっているべきビジネスですか?」